歴史大河の醍醐味

毎週、NHK大河ドラマ「八重の桜」を楽しくみさせてもらってます。
大河ドラマは毎年楽しんでますが、今年もとても面白いですね。
明治維新、敗者として歴史の影に消えた会津にスポットが当たる。
俺は「歴史上の敗者達」のドラマが、とっても好きなんですね。
歴史は勝者によって作られる、という言葉もありますが。
その影には、違う旗に殉じた敗者がいて、もう一つの真実があるんです。
そういう歴史を知るきっかけとして、とても大河ドラマっていいですよ。


自分は仕事の都合上、土曜日の再放送で一週間遅れでみてます。
今週(つまり先週の放送分)は、個人的に泣いてしまいました。
道場で薙刀の稽古に打ち込む八重達の前に、ある女性が現れます。
彼女は西郷頼母の奥さん…会津の重鎮、家老職の奥方ですね。
西郷頼母松平容保京都守護職着任に反対、家老職を解かれ蟄居中。
ようするに社長に逆らった重役で、自宅謹慎って感じですね。
その奥さんですが、「夫は藩と殿に恥じることはしてない」と堂々。
他の女性が、表に出てこないよう言っても、その振る舞いは翻らない。
当時、女性の地位は低く、夫に傅くのが当たり前の価値観でした。
そのことは作中、覚馬(八重の兄)の嫁で丁寧に描写されてましたね。
ですから、こうした女性の演出はとても目を引くものがあります。
頼母の妻は常識外れの行動ですが、その態度は現代人には共感が持てます。
なにより、そうした女性達の諍いを、容保の妻が綺麗に落とします。
「皆が皆、揃って会津のおなご、仲間だぜ!(要約)」という感じ。
この肝っ玉御前にも萌えますが、やはり頼母の奥方に萌えますね!


でも、俺は今日は泣いてしまった、うああああ、ってなっちゃった…
ご存知でしょうか、この西郷頼母の奥方がどんな運命を辿るか。
そう、我々は既に歴史を通じて史実を知り、その最期を知ってるのです。
大河ドラマとは、おおいなる「ネタバレ」を前提にした娯楽なのですね。
でもじゃあ、結果を知ってれば過程は楽しめないのでしょうか?
俺の尊敬するデザイナー、永野護先生がこんな言葉を述べています。


「僕達はヒットラーがいつ死んだか知ってる。でも、死ぬ時どう思ったかを知らない」


氏はライフワークとして、超大河ロマン「ファイブスター物語」を描きます。
全ての主な事件や出来事を、予め年表でネタバレした物語の誕生でした。
先がわかる、このあとどうなるか知らされてる…しかし、面白い。
これは、歴史を紐解き想いを巡らせる楽しさにほかなりません。
話を戻しますが、西郷頼母の奥方および家族には悲劇が待っています。
それを知るからこそ、気高く強いその姿を見て、二種類の感動を持つ。
その凛とした姿や振る舞いに感動、同時に切なく心が苦しいのです。
皆様も興味があったら、奥方の壮絶な最期を調べてみてください。
俺もいつか、こうした歴史の楽しみや面白みを書けたら嬉しいですね。