俺とキャップ

俺とキャップとの出会いは、高校生の頃だった。
中高、そして専門学校から社会人初頭と、格ゲー狂いだった俺。
当然、カプコンの新作は全部チェックして遊んでいた。
アメコミはよく知らなかったけど、マーブルは大好きだった。
まず、俺の大好きなスパイダーマンを使って遊べたのがイイ。
原作知らずのニワカだけど、ピーターの気さくさが大好きだった。
こういう生活感があるヒーロー、日本ではあんまし見ないよね。
カプコンのセンスがまた素晴らしくて、スパイビーはイメージ通り。
機動力と運動性に富み、必殺技もいかにもな雰囲気で感激したな。
超必殺技がまた格好よくて、マキシマムスパイダーぶっぱにハマった。
まあ、ジェムパワーで分身してのエリアルを楽しんでた訳だ、俺は。


そんな中、ちょっとゲームに慣れてくると2ndキャラを使い出すのよ。
ガチ対戦じゃなくこう、CPU戦とかで息抜きの時に使いたいというか。
まあ、そんな訳で2ndキャラってかサブキャラを俺は選んだ訳だ。
それがキャップことキャプテンアメリカだった、結構使った。
カプコンのキャラにしては珍しく、チェーンから超必乱舞が繋がる。
それだけで使った、小足中足から立ち大Kキャンセルファイナルジャスティス。
当時はただそれだけのお子様プレイだったが、爽快感抜群で楽しかった。
後から「小足中足でヒット確認できるじゃん」て気付いてニヤニヤした。
マーブル系はカプコンの格ゲーの中では、ちょっと異色の作品なんだ。
細やかな調整とゲームバランスがウリ、対戦ツールメーカーのカプコン
そんなカプコンがハメを外したとしか思えぬ大雑把さがウリのマーブル系。
もうね、50Hit60Hit当たり前、ハメてなんぼ、無限コンボ上等なのだ。
そんなハチャメチャバランスの先駆けたるゲーム内で、キャップに会った。


突進技、飛び道具、昇竜拳と無難な必殺技に、格好いい乱舞の超必殺技。
非常にオーソドックスで攻撃力も高く、逆を言えば面白みは少ない。
そう思ってたけど、勝ちポーズで見せるアメリカ至上主義が好きだった。
うわー、超タカ派だよ右翼丸出しだよ、アメリカしか見えてないよ!
そりゃそうだよな、キャプテンアメリカって名前だもんな、しょうがない。
その後シリーズはアメコミヒーローvsカプコンキャラへと進化してった。
俺はスパイビーを使いつつ、ジンやガイル、バレッタを使うのに大忙し。
もともと暇つぶし用のサブキャラだったキャップは自然と離れていった。


でもこの正月、愚妹様の彼氏くんと一緒にDVDでキャップの映画をみた。
なんかこう、胸が熱くなった…目頭が熱くなって、猛烈に感動した。
俺の考えるヒーロー像がそこにはあった、これぞまさしくヒーローだ。
俺はね、ヒーローってのは孤高にして孤独、宿命を背負う者だと思う。
例えば仮面ライダーがそうだし、ウルトラマンがそうだと思うんだ。
メタルダーもそうだったし、ジャンパーソンもジバンもそうだった。
仮面ライダーはステゴロで一人だったし、ウルトラマンには秘密がある。
今はまたちょっと違うけど、俺の中のヒーロー像ってそうなんだよな。
で、キャップもまた挫折から這い上がり、信念を貫いた男だったのだ。


キャプテンアメリカは強化兵士、生まれたのは第二次世界大戦中だった。
キャップは最初、チビでガリのもやしっ子で、兵役試験に落ち続けた。
祖国アメリカのため、正義のために戦いたかったけど、兵士になれない。
そんな葛藤を抱えてた彼がようやく掴んだチャンス、それが実験だった。
激しい競争をくぐり抜け、強化兵士の実験第一号となった彼は、耐えた。
苦しみ抜いた果てに掴んだ栄光、しかし待っていたのは偶像だった。
キャップはナチスと戦うアメリカの広告塔として、ショーの任務をこなす。
戦時国債を売るためだけに、ステージで美女と国威掲揚の日々が続いた。
そんな自分に疑問を感じ、仲間のはずの米兵から蔑まされる日々…
だが、本当の危機にキャップは敢然と立ち向かい、真のヒーローになる。
ナチスを倒した彼を待っていたのは、遠い未来への眠りだった。
悲劇だなあ、でも本当にキャップ格好いい、惚れた!濡れた!