嗚呼、栄光の帝国海軍

聯合艦隊司令長官山本五十六」、先日日曜洋画劇場で放送された映画だ。
以前よりどうしてもみたかった作品で、録画したものをようやくみれた。
世間にはまだ知られてない、素顔の山本五十六に迫った野心作だと思う。
勿論、映画という娯楽の中で脚色された姿ということは覚えておきたい。
役所広司さんの力演で、とても素晴らしい映画だったといたく感動した。


山本五十六が常々日米開戦に反対であったことは有名な話と思う。
当時の日本で唯一、太平洋戦争の着地点を見据えてた人とも感じられる。
それもその筈、山本五十六アメリカを誰よりもよく知っていたのだ。
若かりし頃、山本五十六は駐米武官としてアメリカで過ごしている。
その若い頃の感性で、彼はアメリカの強大さを身を持って知ったのだ。
日米の国力差は言うに及ばず、資源や人口、生産力全てにおいて差がある。
決して精神論ではどうこうできない、圧倒的な物量差があったのだ。
そのことを説きつつ、海軍の長として決断し、最善を尽くした山本五十六
ベストが得られぬ中で、ベターを、モアベターを探して足掻くその生き様。
時には同胞を犠牲にしてでも、日本という国のために尽くしたんだと思う。


でも、忘れてはいけない…山本五十六だけがそうだった訳ではないのだ。
多くの人間が当時、日本のためにと心身を削って尽力したんだと思う。
中には手段を誤った人もいるし、当時の価値観で罪人とされた人もいる。
それでも俺は、歴史を築いた先達が皆、ベストを尽くしたとは思いたい。
だからこそ、その過程を称賛してありがたく思う気持ちを持ちたい。
そして、それと切り離して、結果がどうであったかを検証したい。
ベストを尽くしてもいい結果を得られないことが現実にはある。
最善を尽くした人が、実は結果的に間違っていたということはよくある。
それを認める勇気、その歴史から学ぶ知恵をこそ、今の日本は持つべきだ。


などと、偉そうなことを言ったけど…赤城ハァハァ、長門ハァハァ!
っべー、CGって凄いね、超迫力だったよぉ、艦隊最高、戦艦最高ぉ!
本作の海戦シーンはほぼCG、戦艦も空母もほとんどがCGだと聞く。
だがもう、俺程度の眼では区別がつかない、全部実写に見えてしまう。
映画「男達の大和」では、かなり大規模なセットが組まれたらしい。
大和と同スケールの甲板が用意されたとも聞くし、確かに迫力あった。
そのコストは大変だっったと思うが、それに見合う収益があったと思う。
山本五十六の映画では、ほとんどCGにしてコストを抑えたのかな?
逆に俳優陣に要所要所で名優を使うことで、とてもいい映像になってる。
特撮的な見地からすると見どころが少ないが、凄くいい絵だったね。
これからも戦艦、大砲、飛行機、海戦、こういう映画に胸を踊らせたい。
こういう大スペクタクルの戦争が、フィルムの中で化石になればと願う。
いつか全ての戦争が太古の昔の愚挙として、昔話になる世界を祈る。