ぐぬぬ

フランツ・カフカの「変身」っていう短編小説が大好きだ。
という話をするのは何度目だろうか…まあ、大好きだな。
不条理小説の草分けと言われてる名作だが、酷い話なのだ。
主人公のグレゴールは、朝起きたらなぜか巨大な毒虫になっている。
な?不条理ってか理不尽だろ?説明も理由もなく毒虫になっている。
訳もわからず家族に恐れられ気味悪がられ、毒虫として扱われる。
巨大な毒虫なので部屋から出られず、母親に林檎を投げつけられる。
身体にめり込んだ林檎が腐っていって、最後にグレゴールは死ぬ。
衝撃のラスト、グレゴールが死んで家族に平和と平穏が訪れるのだ。
グレゴールの家族達は、清々しい気分でピクニックにでかけるのである。
唐突に不幸が訪れ、それが不幸自体の死で元に戻る…恐ろしい話だ。
凄く短い小説だし、青空文庫にもあるかも…興味があったら是非。
具合が悪くて臥せってる時、俺は自分が毒虫になったような気がする。


どうでもいい話だけど、カフカが発表した作品は驚くほど少ない。
カフカ自身「未発表作品を焼いてくれ」と遺言して死んでしまった。
だが、カフカの未発表作品が世に出て、今の彼の評価を作ったのだ。
司馬遼太郎先生も「坂の上の雲を絶対に映像化させるな」と遺言された。
でも、NHKで大々的にドラマ化して、俺も見たけど素晴らしい映像だった。
なんていうか、どうしてこうなった…いいことなのか、悪いことなのか。
遺言に優る作品の魅力を持っていたと言えば、羨ましい気もするし。
でも、遺言が守られないのはなんとも悲しい、故人が浮かばれない。
難しいなあ…とりあえず俺が死んだら、PCを陸奥湾に沈めてくれ(笑)
人には見せられないような凄いテキストが山ほど詰まっているのだヨ…