青森の夏、ねぶたの夏

国道周辺の歩道に、さじきを作る工事が始まった。
嗚呼、夏がきたのだな…青森にもねぶたの夏がやってくる。
さじきってのは、ねぶたを見るためのお座敷席のこと。
結構いいお値段するけど、ここでねぶたをみるのもオツだよ。
そして夜になると、海からの風にのってねぶた囃子が聞こえる。
練習も佳境だね、追い込みだね…もうすぐねぶたの季節だね。
青森の夏は短い、ねぶたの一週間で完全燃焼するのだ。
…でも、あれ?お、おかしいな?今日はなんか、その…
妙にはっきりとねぶた団地からのねぶた囃子が聞こえるな。
普段は微かに聞こえる程度だけど…むむ、近づいて来る!?


何事かと思ったら、町内で出してるねぶたでした。
町内会が主催して、町内の子供達が引っ張るねぶた行列だ。
青森ではこの季節、あちこちでこうした小規模ねぶたを見る。
幼稚園の年長組くらいだろうか、子供達が一生懸命声をあげていた。
らっせらあ、らっせら、らせらせらせら…夏の夜気を歓声が飾る。
今日はなんぼか涼しくて、それでも日中の熱気をはらんだ空気が震えた。
いいねえ、夏だねえ…うっとり窓から見てたら、隣で突然大声があがる。
「うおお、町内のねぶただ!路上で見ねば!」…父が張り切った。
なんだか妙に張り切ってる、テンションMAX180%って感じだ。
「母さん、うちわはないか。うちわを持たねば格好がつかん!」
あ、はい…なんか父はうちわを片手にいそいそと玄関先へ。
元気な爺だなあ、おい…父は昔からでも、お祭り騒ぎが大好きだ。
やれやれと苦笑しつつ、俺が夏コミの原稿を進めていたら、だ。
ほっこり笑顔で満足気な父が、町内のねぶたを見送り戻ってきた。
「守や…ねぶたに乾杯しようじゃないか」…え、あ、お、おう。
父に言われるまま、なんだかなぁと思いつつリカーショップに走る。
「飲もう」
「飲もう」
そういうことになったのだった…飲んでばっかやな、この家!
でも、本当に夏になっちゃったんだな…梅雨明けも近い。
青森の夏は間近、今年もいい思い出を沢山作りたいな。