秋立ちぬ、いざ涼めやも

・ねぶたヨモヤマ話
本州の最果て、北の大地青森!
青森の夏は短い…ねぶたで燃える八月第一週が全てだ。
僅か一週間で完全燃焼する夏の物語を伝えよう。
ただ、静かにねぶたは衰退し、姿を変えてゆく。
はねとは減り、規制と規則でがんじがらめ、誰得祭に。
それでも、それでよかれと努力し善処して尽力する人がいる。
そういう人達の献身で、祭は今年も素晴らしいものになった。
よりよい祭を目指すと同時に、現状を支える人を忘れてはいけない!
今年もねぶたに関わった全ての人、お疲れ様でした、ありがとう!


・ながやん、ねぶたを引っ張る。
高校生の頃、アルバイトで大型ねぶたを引っ張ったことあるけどね。
大型ねぶたは、一軸二輪の巨大な台車上に山車、灯籠が作られる。
二輪なので当然だが、前か後に傾く、進めるには前後を平行に。
つまり、常に誰かが前と後ろを持ち上げてないといけないのだ。
この前後の浮き沈みで、ねぶたのダイナミックな動きは演出される。
十トン以上の山車が前後に揺れ、車道を駆け巡る様は圧巻だ。
勿論、引っ張る人間は時に全体重を乗せ、時に全腕力で持ち上げる。
発電機が入ってるのでテラ重い、これを動かすのは青森の男の誉れだ。
今回はでも、前ねぶたと呼ばれる小型の物で、リアカーになってる。
これはこれで難しいし、気を遣う…祭に容易いことなどないのだ。
楽しかったよ、今年はとてもいい経験をさせてもらった!


・スーパーゆるキャラ大戦IN青森
青森にも沢山のゆるキャラがいて、毎日しのぎを削っている。
紹介しよう、まずはねぶたが誇る郷里のゆるキャラ、ハネトン!
http://www.city.aomori.aomori.jp/view.rbz?cd=11005
ねぶたんやあぷたん、ほたてんといった仲間もいるよ!
はねとの恰好をした豚だから、ハネトン…ど、どうよ?
そして、青森県ゆるキャラ、謎生物代表のいくべぇ!
http://localchara.jp/catalog/1146/
アスパムによくいる、特技はあちこち引っ込むこと!
そして、青森県産米のPRキャラ…やなせたかし先生作、お米大使!
http://www.aomori-komehonbu.gr.jp/character/character.html
ダンスとテーマソングは、青森の子供で知らぬ者はいない!
そして…ゆるキャラ日本最強のあの熊がついに青森に上陸だ!
熊本のアルティメット外来種、くまもんがきてくれたぁーっ!
この夏、生き馬の目を抜く強烈な闘いが、ねぶたの地で争われた。
ねぶたの横で子供の視線を奪い合ういくべぇとお米大使を俺は見た。


・そうそう、ゆるキャラといえばこんなシーンも
青森浅虫水族館のマスコット、こころちゃんってのもいるんだ。
http://www.asamushi-aqua.com/tvcm/index.html
これの着ぐるみがねぶた運行に参加、ゆるキャラみつどもえに。
お米大使は軽快なダンスで、いくべぇはお年寄りにアピール。
さあ、こころちゃんは…こころちゃん?隊長、こころちゃんが!
こころちゃん、突然動きが鈍り、立ち止まり、そして…ギブアップ!
30度近い夜、はねとでさえ汗だくなねぶた運行…まして着ぐるみでは。
浅虫水族館のスタッフが血相をかえて走る、背中のチャックがあく!
みんなが旗を持ってそれを隠す、子供の夢を壊すな、中の人などいない!
俺は友人とねぶたを引っ張りながら「大丈夫かな」と心配していた。
中のおっさんも大変だよね、無事だといいんだけど、と話してたら。
中から美人の女性スタッフが!汗ばむ肌はしっとり、黒いブラが透けてる。
子供の夢を壊さず守り、俺らの「どうせ中はおっさん」に夢を…ありがとう!


・鈴拾い、それは青森っ子の青春
ねぶたのはねとが落とした鈴を拾うと幸運が訪れる…らしい。
観光バスのバスガイドさん達が作った都市伝説で、鈴はいつも大人気。
参加していると「鈴ちょうだい」ってみんなが手をのべてくる。
勿論、気前よくあげるのが真のはねと、宵越しの鈴は持たないのが通。
中には勝手にはねとから毟り取るマナーの悪い観光客もいるけども。
しかし、子供達にとっても鈴は大事、一夏でいくつ集められるかが熱い!
再三再四、「鈴拾い危ない、駄目絶対!」ってみんな指導するけどね。
でも、それでも拾うのが子供ってもんだ、気をつける大人達もお疲れ様。
ゴール前のラストパスに飛び出したインザーギの如く、鈴への飽くなき嗅覚!
俺も小さい頃は友達と拾った数を競った、悪い遊びもまた必要かな、って。
今年は俺も沢山の鈴を大勢の子供へ…まだ鈴拾いする子供はいるよ、生きてる。
俺達が燃えた夏はまだ、今現役の子供達へ受け継がれているんだ。
鈴を配った俺は心が暖かくなったが…自転車のベルを盗まれた…おいい?
俺のコルベットのベル"だけ"盗んでった奴、下半身がハゲる呪いをかけまんた。


・それってどうなの、言っても詮無いことだけどさ
最近はねぶたでは、はねとがホイッスルを吹くことは固く禁止されている。
昔はホイッスルで調子を取りながら、はねとは輪になって跳ねたものだ。
だが、カラスはねとというのがいて、これのマストアイテムでもある。
カラスはねとは黒装束に身を包み、祭の輪を乱すとされてきたのだ。
故にホイッスルも禁止、使うのはねぶたを誘導する係の人だけである。
自分達の後ろでねぶたを引いてた団体も、進行係がホイッスル使ってた。
したら「○○さん、ホイッスルがカラスくさいと苦情きてます」って…
無茶言うなよ、進行役、誘導役はホイッスルOKだし、そんなこと言うなよ。
「カラスっぽく吹いてるので、進行役っぽく吹いてください」って、ワーハハ!
無茶いうねい、ちょっと、なんだかなあ…ねえ、それってどうなの?
何かを排除すると、グレーゾーンが発生して軋轢を産むことがある。
例えばそうね、今のねぶたは時間が決まってるから、運営係がせかす。
急いで進んで、前に進んでとせかす、祭を時間内に終わらせるため頑張ってる。
県庁の職員の方も頑張ってる、一生懸命時間内に抑えようと気を使ってる。
けど、職員が前に前にと誘導してるのに、ねぶたの進行方向を塞ぐ人!
誰だと思う?誰だろうねえ、記念撮影したり有権者や支持者と握手したり。
県庁の職員が頑張ってるのに、県庁トップの人がそれじゃアカンでしょ。
県庁職員が「前に進んでね」って行ったねぶたの行く手を、知事が塞ぐ。
支持者との記念撮影も大事だし、観光客との記念撮影も大切だろうさ。
ねぶたに今、歪みが出てる…正しく美しい姿を保とうと無理をしたからさ。


・ながやんが選ぶ2013年ベスト大型ねぶた
いろんな賞が決まって、受賞した大型ねぶたは今日は海上運行。
はしけに乗せて海の上、花火が咲く夜空で最後の運行を行うのだ。
今年も大型ねぶたはどれも素晴らしいデキで、ダイナミズムに溢れてる。
大型ねぶたはベイブリッヂをくぐるため、昔より1m低くなったのだが。
新町のような細い道から見上げるねぶたは、巨大な迫力で圧してくる。
俺が選ぶ今年のベストは、ヤマト運輸さんの剣豪足利義輝である。
室町幕府13代目将軍、別名「剣豪将軍」と呼ばれ、ながやんは好きなのだ。
1565年、各国大名との修好を進める義輝は、不服に思う者達の襲撃を受ける。
二条城を襲撃した松永久秀三好三人衆の手勢を相手に、義輝は孤軍奮闘。
名だたる名刀をズラリ周囲の畳に突き立て、刃こぼれの度に持ち替え戦う。
最後は、四方から立てた畳を盾に数で押しつぶされ、非業の死を遂げた。
おそらく、歴代将軍の中でも最も優れた武人、剣士だったと思う。
政治や教養の能力も高かったと思うが、あんましぱっとしないイメージ。
ゲームでも武力は70くらい…上杉謙信を100としても、90はあると思うのに。
まあ、ゲームの武力は「軍を率いる能力」「一騎打ちの強さ」の総合値だしね。
義輝最期の戦いを臨場感たっぷりに再現したねぶたは、素晴らしい傑作!


・ピカ○ュウじゃないですよ!
友人の会社のねぶたを引っ張らせてもらったが、カワイイ前ねぶただった。
モチーフになったのは、「ヒカリス」というリスのマスコットキャラ。
ヒカリのリスでヒカリス、次世代照明の有機ELをPRするキャラ、かな?
http://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/shoko/sozoka/img/2009-0924-1427.jpg
かわいいでしょ、でもね…会社の方もおっしゃってたけど、悲劇がね。
その…あれに少し似てるよね、世界的に有名な電気ネズミのポケモンに。
勿論、これのねぶたを引っ張ってると、沿道から子供の声があがる。
「ピカチュー!」「ママ、ピカチューだよ!」「ピッカー!」…おいおい。
違うよ子供達、ヒカリスだよ…次世代照明、有機ELのマスコットだよ!
親御さんまで「ほら○○ちゃん、ピカチュウきたよ!」って…ちゃうねん。
なかなかわかってもらえない、みんながみんなピカチュウって呼ぶ。
嗚呼、ヒカリス…来年は、来年こそはリベンジしような、知名度上げよう!
俺も微力ながら力を貸すぜ、キャラカードとか作って鈴と一緒に配るとかさ。
子供達の黄色い声援を受けつつ、間違った愛されかたで大好評でしたとさ。


青森の夏はねぶた、ねぶたには数々のドラマがある…いい夏だった。
青森では「ねぶたが終われば秋」と言われていた、昔はね。
超絶暑いです、猛暑注意報出てます…さあ、次はお盆だ!
ちょっと作業滞ってたけど、明日から仕事がんばります!