ハボリム無双ってあれ、ゲームだからね

エンタメ系の創作物における「盲目キャラ」は、一種の超人である。
往々にして「視覚を失ったことにより、それ以上の力を得ている」というスタンスである。
俺が思うに、魅力的なキャラ造形の鉄則「絶対的な力と弱点を持つ」の構図だね。
聖闘士星矢のドラゴン紫龍などがいい例で…彼は視覚を断つことで小宇宙を高めていた。
力には代価が伴うという、とても盛り上がる演出も兼ねてるのである。


今日はでも、現実での盲目の方、盲人…とりわけ、俺の両親の話をしよう。
母は全盲で、一人で家の外を歩くことができない。
だからいつも、俺は母と手を組んで出歩くのだ。
ちっちゃい頃は恥ずかしかったけどね、今はこれが当然。
母は若いころに特訓したけど、どうしても歩行訓練でいい結果が残せなかった。
駅のホームから落ちたりして、一人では出歩けないなと悟ってしまったのだ。
仕事場へは父と歩き、普段は俺と歩き、買い物はヘルパーさんと歩く。


父は弱視だが、その視力は年々衰えてゆき、今ではほぼ全盲だという。
それでも白杖を手に、こっちは驚くほどアクティブに歩きまわる。
白杖、白い杖…「杖」だけど、これは突いて歩くものじゃないんだ。
目の見えない盲人にとって、白杖は「触覚」なのである。
歩く先の段差、地形、対人対物を全て、白杖で触って確かめる。
そうしないと歩けないから、どうしてもコンコン、と白杖が当たる。
路上駐車の車に白杖が当たって「あ、何かある…よけなきゃ」って思ったら。
車の持ち主に「俺の車を何たたいてんだ!」って怒鳴られることもあるのだ。


盲人もそうだけど、障害者の方々はみな、ハンデを背負いつつ一生懸命社会に参加している。
これを、余裕がある人は助けてあげるのが、俺はいい社会のありかただと思う。
そして、余裕のない人はせめて…見守る程度にとどめて、普通に接して欲しい。
まして、暴力を振るったりするなど言語道断、悲しくなるので絶対にノゥ!だよ。
白杖は盲人の触覚、盲導犬は盲人本人と同義…そのことを今日は知ってほしい。
以前なんどか、俺は「うちの両親は盲目だけど、なんかスゲェよ」て話はしてるよね。
でも、凄くてもやっぱり、目が見えないのはハンデで、出歩けば危険な大冒険だ。
それでも、果敢に外へ出てゆく方たちを…どうか温かく応援して欲しいのだわ。