花は咲く

3月11日は、自分たち東北の人間にとって特別な日です。
鎮魂の祈りに満ちた、とても厳かな日であって欲しいです。
でも、同時にこうも思うのです…
いつか3月11日が、普通の日になればと。
テレビの特番もなく、黙祷の時間もなく。
ただ、忘れてゆくこともいいな、と。
未来への遺産として、記憶を受け継ぐこと。
それもまた、大事なことだと思います。
しかし、今を生きる人の生活が、一番大切です。
辛いことは忘れていいと、俺は思うんですよね。
「痛みを胸に刻んで俺は戦う!」っての、格好いい?
そういうのは、創作物の中で十分ですよ、マヂで。
そして、現実の人間には難しい行為だから…
創作物にみんな託すんです、祈りと願い、望みを。


人間はどうしようもなく忘れてゆくイキモノ。
喉元過ぎれば熱さを忘れる、記憶は風化してゆく。
日本が近代国家になって、何年経ったと思います?
その間、何度天変地異クラスの地震があったでしょう。
街にある「ここまで津波がきました」って大昔の石碑…
東北にも無数にありましたよ、沢山ある街で死んでるんです。
それを責めないし、当然だと思うし、気がついただけでいい。
ただ、犠牲を出したことで皆が傷つき、生活も一変した。
それでも、行政やボランティア、自衛隊や警察、消防が頑張ってる。
多くの人の善意と、国家のシステムが善処し、前進している。
この6年で、牛歩の進みに見えるかもしれないけど、復興している。
確実によくなっている、本当にちゃんと前に進んでいる。
だから…辛かったこともいつか忘れていけた方が幸せかもしれない。
忘れず寄り添える人はそうしてあげるのが、一番いいですけどね。
でも、誰もが強くはいられないとは思うし、忘れたいですよ。
だから、いつか今日がなんでもない日になることを祈ります。
その時まで日本を、何度も地震津波、天災が襲うでしょう。
それでも、多くの人にとって故国、母国は選べず、変えられません。
この国で生きていくことは、地震大国で生きていくということ。
防災意識も大事だし、それでも辛かったら忘れるのが一番いい。
そして、時間は忘れがたい記憶すら忘れさせてゆくものです。
だから、やっぱり…今日がなんでもない日になりますように。
そういう未来へ向けて、今日また気持ち新たに出発ですね。